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ちゃーりーとちょこっとレーティング工場

20代サラリーマンのまったり株式投資記録です

読書記録#7:『MBAファイナンス』

 


こんにちは!

今日は「読書記録」より第七冊目の感想文です。


けふはこちら!
MBAファイナンス』,グロービス・マネジメント・インスティテュート,1999,ダイヤモンド社

前回の本のファイナンスバージョンです。



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前回に続き教科書的な本なので今日も要約はなしです。
気になる点について少し感想・書評をば。



目次・概要

 

第1部 ファイナンスの基本

  -キャッシュフロ ー/ 現在価値 / インベストメント―投資のリストとリターン
  -資本コスト / 投資の価値計算

第2部 ファイナンス概念の応用

  -企業価値 / 財務政策 / 資金調達

第3部 これからのファイナンス

  -デリバティブ証券化

第4部 経営とファイナンス

  -経営戦略とファイナンス理論


経営的な観点から書かれたファイナンスの本で、投資価値や財務政策、資金調達の考え方について書かれています。
ファイナンスの本で株主目線ではなく会社目線からの記述になっています。
企業価値とはなにか、を考えるうえで勉強になりました。




参考になった点

 

その1-多角化と資本コスト

 

 投資家が成熟した鉄鋼株に投資するということは、相対的に安定したリターンを得たいがためにそうしているはずである。したがって、投資家が鉄鋼メーカーの経営者に要求する資本コストは、ハイテクでリスクの高い半導体に比べて高いものではない。
 ところが、そのような意図から提供された相対的にローコストの資本を、リスクの高い半導体事業に使うということは、鉄鋼メーカーの経営陣にはおいしい話だが、投資家にとっては有り難い話ではない。(p.97)

 

これは資本コストと企業の投資施策に関する記述です。

企業は、株主資本を使う際、資本コストに応じた使い方を選択しなければならないという主張です。

例として鉄鋼株が挙げられています。
成熟産業の鉄鋼株へはリスクの低さが求められていて、期待リターンも低いため、その株主資本をリスクの高い事業へ振り向けて投資するのは株主利益に反するということです。

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これはとても納得しました。


鉄鋼業のこの会社がハイテク業に投資すれば、成長性が生まれて利益自体は伸びるかもしれません。
ですが、それはこの会社に投資している人が望んでいることなのでしょうか。

もちろんノーで、投資家は成長性がないことは承知の上で鉄鋼業に投資しているわけです。
低いリスクと安定したリターンという関係性を踏まえて、この会社を選んでいます。

たしかに、期待よりも成長はしてほしいでしょうが、それはあくまで想定しているリスクの範囲内でという条件付きです。
この会社がハイテク業に投資してまで成長することは望んでいないはずです。
そうなると、リスク-リターンのバランスが大きく変わってしまうので。

もしハイテク業のもつリスク-リターンのバランスを欲しているなら、投資家は最初からハイテク業に投資すればいいだけの話です。
なにもこれからハイテク業に参入する鉄鋼業の会社に投資することはありません。

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個人的にここで思ったのが、新規事業と企業価値の関係になります。

新規事業立ち上げが発表されると、基本市場はポジティブにとらえられて、株価が上がることが多いかと思います。

安易にこの流れに引きずれないように、資本コストと事業リスクの関係の視点は大切にしていきたいです。

 

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その2-資本構成

 

キャッシュフローが安全に維持できる範囲で借入を最大化せよ(p.162)

 リスクの高い資産は相対的にリスク選好の高い(=ハイリターンを要求する)株主資本でファイナンスされ、リスクの低い資産は相対的にリスク選好の低い(=ハイリターンよりも安全性を優先する)負債資本でファイナンスされることになる。
 つまり、B/Sの左側である事業資産の性質によって、B/Sの右側である資本構成が影響を受けることになる。(p.165)


最適な資本構成はどんなものかという問いに関する部分です。
これはその問いに対する一つの答えになっています。


まず原則として、借入は多ければ多いほど良いです。

株主資本より負債のほうが企業にとってのコストが低い(税金がかからない)からです。


ただ、借入が多すぎると倒産リスクが高くなって怖くなりますよね。

というわけで言われていたのが一つ目の引用。
キャッシュフローを無理なくプラスで維持できる範囲で借入を多くせよ、というわけです。

「無理なく」というところの判断が難しいですけどね…



二つ目の引用では、借入は多いほうがいいとはいえ、業種によって特徴が出ると言っています。

簡単にまとめると、ローテク業では借入比率が、ハイテク業では株主資本比率が高くなりやすいという感じです。

ローテク業では価値を生み出している源泉がどこにあるかがわかりやすいです。

キーになる資産は、ビルや土地、機械、ブランドなどです。
会社が倒産してもこれらの資産は消えないので、資産のリスクは低いことになります(ブランドは少し怪しいですけど…)。

そんなわけで、ローテク業では、コストの低い借入で資金を調達できるし、そうしたほうが良いということになります。

逆に、ハイテク業では価値の源泉がつかめません。

ハイテク業で重要な資産は。開発力やノウハウ、アイデアなどです。
これらの資産は、会社が倒産してしまえば消えてなくなってしまいます。
倒産せずとも、人が辞めただけで一気に価値が低くなりかねません。

ということで、ハイテク業では、リスク選好の低い借入での資金調達が難しく、株主資本に頼らざるを得なくなるというわけです。

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以上のことは、負ののれん価値が大きく出る企業は負債比率が高く、のれん価値が大きく出る企業は株主資本が高くなりやすいとも言い換えられそうです。

ローテク業の資産は、ブランドを除けばすべて帳簿上にある資産です。
一方、ハイテク業の資産は簿外の資産になっています。

帳簿上の資産で完結するローテク業はリスクが低いので、借入比率を高くできます。
ですが、簿外の資産への依存度が高いハイテク業はリスクが高いので、借入を得にくくなるというわけですね。

のれん価値の多寡(PBRの高低)で、およそのあるべき資本構成がわかることになります。


このことを展開すると、業界の標準的な資本構成から抜けている企業は、リスク面でなにかしらの強みor弱みを持っている可能性が高いとも考えられそうです。

たとえば、リスクが高いハイテク業界のなかでバンバン借入を増やせている企業は、実はリスクが低くて頭一つ抜けた企業だということがありえそうです。

もちろん企業が事業リスクを考えずに、無計画に借入を増やしている可能性もあるかもしれません。
が、貸す側はやはりリスクをちゃんと考えていると思いますので、企業の実体なくして資本構成が平均からかけ離れるのはあまりないのではと考えてます。

なので、資本構成から事業リスクを読み取るということができるかもしれません。
 

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いままで資本構成については難しくてあまり考えてこなかったので、勉強になりました。

この本のことも一つの見解かと思いますが、考えを進めていくきっかけが得られた気がします(・.・ゞ

最後に書いた「資本構成から事業リスクを読み取る」ということは、今後やってみたいと思います!


ではでは今日はこれにて(^^)/