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ちゃーりーとちょこっとレーティング工場

20代サラリーマンのまったり株式投資記録です

読書記録#12:『経営戦略の思考法』

読書記録(書評)


こんばんは!

読書記録目次」より十二冊目の感想ですー
きょうはこちら!

『経営戦略の思考法』,沼上幹,2009,日本経済新聞出版社

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目次・概要

 

 

目次


第 I 部 経営思考の変遷―経営戦略論の知層形成

 -経営戦略に関する5つの考え方 / 戦略計画学派 / 創発戦略学派
 -ポジショニング・ビュー / リソース・ベースト・ビュー
 -ゲーム論的アプローチ / 5つの戦略観がもたらす反省

第 II 部 戦略の思考の解剖―メカニズムの解明  

 -3つの思考法 / 戦略的思考法の具体例―思考法を身につけるための見本例の紹介

第 III 部 戦略思考の実践

 -顧客ダイナミクス / 顧客の声に耳を傾けてはいけないとき
 -差別化競争の組織的基礎 / 競争を活用する戦略
 -先手の連鎖シナリオ / シナジーの崩壊メカニズム
 -選択と集中創発的多角化戦略の問題点 / 組織暴走の理論

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概要・書評

戦略論の捉え方と使い方についてまとめられた本。

Ⅰ部Ⅱ部は戦略論の類型が体系的にまとめられててとても勉強になりました。
Ⅲ部はコラム的な感じで、筆者の戦略論に対する考え方が書かれていて面白いです。

戦略論を勉強されている方でも頭の整理になりそうかなーと思いますので、おすすめです!


以下、Ⅰ部Ⅱ部の内容を簡単に紹介します。

 

筆者は、戦略論をおおまかに五つ、1.戦略計画学派、2.創発戦略学派、3.ポジショニングビュー、4.リソースベースドビュー、5.ゲーム論的アプローチ、に分けています。

1と2は、戦略がトップダウンで生まれる(1)か、ボトムアップで生まれる(2)かという点が主に違います。トップが最初に決めて計画通り実行するのが戦略なのか、それともボトム(orミドル)が実行に移しながら形作るものが戦略なのか、という違いですね。

3と4は、戦略の決定要素を、業界構造などの外部環境に置く(3)か、企業内のリソースという内部要因に置く(4)かで違っています。外部の環境によって決定論的に戦略が作られるのか、内部のリソースによって自発的に戦略ができるのかという感じです。

5は特殊で、1~4が業界構造やリソースを静的で固定的なものと捉えていたのに対し、それらを時間軸で変化する動的なものとして考えるアプローチになっています。戦略の有効性が時間の経過でどのように変化するかを重視する考え方です。

で、個々のアプローチは一般に思われているより重なり合う部分が多いとも筆者は言います。
相互に排他的というよりは依存的なものなので、どれか一つのアプローチを取るのではなく複眼的に見ることが重要というわけです。

そのうえで筆者が重視するのは「構造やリソースを動的に捉える」という5の視点です。

業界構造やリソースなどを固定的なものとして捉えて要因をただ列挙するのではだめだと言っています。
時間の経過で、構造やリソースはどのように相互作用して変化していくかを考えなければいけないと主張します。

各要素の因果関係を時間軸に沿ってダイナミックに考える必要があるとしていました。

 



参考になった点

 

ポジショニングビューの罠

 自社の努力を通じて環境要因が変化する可能性がある、というような場合には、ポジショニング・ビューの主張する通りに製品-市場ポートフォリオを選択しても、長期的な利潤最大化は達成できない。
 否、自社の固有の強みを見失いながら、市場の波間に漂流するだけの企業に堕してしまうことあり得る。(p.74)

 
ポジショニング・ビューに対する痛烈な批判です笑
この戦略は真の利益を生まない可能性があるという主張です。
ポジショニングビューの戦略は外部の構造に規定されるので、独自の意思や強みなんかは構造に埋没してしまうという感じです。

ちなみに、ここでいうポジショニング・ビューというのは、外部環境を重視するポーター的な考え方を指しています。
5フォース分析とかのことです。

たしかにポジショニング・ビューの見方って、基本的に自社はどうしたいかみたいな意図は考慮に入れないんですよね。
業界構造っていう外部的な構造とそこに占める自社の相対的な位置から、導かれる戦略は必然的に決まってくるっていう感じです。
強く言うと、企業の取るべき戦略は外部構造によって決定論的に決まるというわけです。

もっとも、外部構造に適応するというスタンスでも、最初は自社の強みを生かしながら利益を出せるかもしれません。
でも、外部構造に合わせるだけでは、自社の強みを活かせないような戦略を取らざるをえないケースも出てくるはずです。
で、強みを生かせないような戦略を取っていたら、その間に強みの切れ味は鈍くなってしまって、次第に構造に埋もれかねないというわけです。

強みが消えれば、外部の構造に適応できても、他社よりも大きな利益は出なくなります。


これは個人的に印象に残りました。
わたしは結構このポジショニング・ビューに傾倒していたので…
「リソース?そんなん投資家にはわからんからポジション見たほうがいいでしょ」みたいな感じでした笑

リソースを分析するのは難しいというのは間違えではないかもしれませんが、視点としてはポジションだけでなくリソースもやっぱり欠かせないなーと痛感しました

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カテゴリー化する思考

たとえば「インテル社はもうかるのに、ノートパソコンが儲からないのはなぜか」という問いに対して、「ノートパソコンはアッセンブリ(組み立て)だから儲からないが、インテル社の製品はデバイスだから儲かるのだ」と答える人は少なくない(p.152)


戦略を考えるときに陥りがちな誤りを指摘した文章。
安易なカテゴリー化で理由付けをしてしまうことには気を付けなければならん、というもの。

たとえばですが、「スズメは飛べるのはなぜか」っていう問いに対して、「スズメは鳥だから飛べる」という解答をするのがどれだけナンセンスかはお分かりかと思います。
因果関係を捉えた説明になっていないからです。
「羽を使って揚力で~~~」とか言わないと、ちゃんとした説明にはならないわけです。

でも、ちょっと複雑な問題になるとこういう考え方をしてしまう人がなんと多いことか、と筆者は言うわけです。
いろいろな要因が絡み合う問題になればなるほど、カテゴリーに当てはまらない例外は多くなるはずなのに、人はこういう風に短絡的なカテゴライズで理由付けをしてしまいます。


これもすごい身に染みましたー

カテゴリー化して理由づけて考えるのって、楽なのでついつい使いがちなんですよね。
多くの場合そう考えても間違えがないし、なによりジャッジが早くなるので。

ただ、投資先を選ぶときにはこれは避けないとですね。
こう考えていたら、どう転んでもほかの投資家と同じ見方になってしまいます。
自分だけの見立てをするためにも、因果関係をちゃんと根本までさかのぼらないといけません

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実のある読書をするために…

楽しむために本を読むという読み方と、書き手と同じように世の中を見て、同じように優れた本を書けるようになろうとして読むという読み方は大いに異なる。(p.198)


これは引用の通りです。

今後意識していきたい所存。


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手抜き気味でしたが、今日はこれで!
ほかにもいろいろコメントしたいことがあるのですが、それは個別の戦略論の本の感想を書くときに書くことにしますー

ではでは(^^)/