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ちゃーりーとちょこっとレーティング工場

20代サラリーマンのまったり株式投資記録です

読書記録#22:『戦略の原理』


こんばんは!

今日は「読書記録目次」より二十二冊目の感想文ですー
けふはこちら!

『戦略の原理』,コンスタンチノス・マルキメデス(有賀裕子訳),2000,ダイヤモンド社

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目次・概要

 

 

目次

第1部 独自の戦略的ポジションを確立する

 -事業領域の定義 / ターゲット顧客と製品を決める
 -戦術を決める / 戦略的資産とケイパビリティの確保
 -組織環境を整える / 優れた戦略的ポジションの構築


第2部 他社の戦略イノベーションに対処する

 -新たな戦略的ポジションの発展過程 / 戦略イノベーションに対する評価と対応
 -ダイナミックな戦略観を持つ

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概要・書評

 

理論ではなく実践に焦点を当てた感じの戦略論の本です。

本書のテーマは「いかに独創的なポジションを開拓し続けるか」です。
継続的に独自の新規事業を生み出すことこそが長期的な利益の源泉であると筆者は言います。

そのためには、事業領域をいかに定義しなおしていくかが重要です。つまり、自分たちの事業の価値は何であるのかを自明視せずに常に問い直すべきということです。
事業の再定義は、「顧客は誰なのか」、「製品やサービスの本質的な役割はなにか」、「バリューチェーンやリソースの結びつきがいかなるコアコンピタンスを生み出しているのか」を考えることで可能となります。

簡単に言うと、「いろいろな要素をいろんな視点から見て、現状の事業領域を疑い続けましょうや」っていうのが筆者の主張ですね。

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この本の主旨は『経営戦略の論理』とかなり似ている気がしました。ポジショニングビューとリソースベースドビューの統合という感じなので。
『経営戦略の論理』では「適合のレベル」という概念で両者の統合を図っていましたが、本書では「事業領域の再定義」を中心概念に据えることで統合を試みています(たぶん)。

ただ、『経営戦略の論理』が概念的だったのとは異なり、こちらはより掘り下げて思考法や実践法について書かれていた印象です。
『経営戦略の思考法』→『経営戦略の論理』→『戦略の原理』という順番で、理論的・抽象的→実践的・具体的になっている気がしました。こうしてみるとこの三冊のタイトルそっくりですね笑

 



参考になった点

 

ターゲティングと戦略論

たとえば、あなたの会社はどうだろうか。「自社にはふさわしくない」という理由により、顧客ー特に高収益顧客ーをターゲットから外したのは、いつのことだっただろうか。(p.78)


これは、ターゲットにする顧客を決めるのは戦略的な意思決定であるという文脈で述べられています。リソースは限られているのだから、戦略的に顧客を取捨選択することが重要であるとしています。

それを受けてこの文章。「あなたは顧客を意図的に外したことはあるだろうか」と問います。おそらくこれができている会社はほとんどないでしょう。だから、多くの会社はターゲットを決めるところをもっと厳密にやっていく必要があると筆者は言います。


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この言葉が示唆するのは、ターゲティングが単なるマーケティングの問題ではないということかと思います。

戦略論においては、一般的に、だれを顧客にするのかというのは中心に据えて議論されてこなかったかと思います。顧客が誰なのかは前提としたうえで、「最適な製品やサービスを生み出して顧客に効率的に提供するためには、いかにリソースを振り分けるか」といったところ、要するに製品やサービス、バリューチェーン選択と集中」が戦略論の主題だったのではないかなーと。
だから、セグメンテーションやターゲティングなどの話は、戦略論とは分けて論じられることが多い気がします。

しかし、この引用はその戦略論の欠陥に切り込みます。ターゲティングは取捨選択だから、戦略論において大きな意味を持つはずというわけです。取捨選択をするということはリソースをいかに振り分けるかということに直接つながるので、ターゲティングも戦略論においては当然メインの懸案事項になるという感じです。


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そうなりますと、「事前に思っていたより顧客を取り込むことができて売上・利益が上がりました!」というのが必ずしも望ましいことではないということがわかります。

なぜなら、想定以上の顧客に対しては、事前に用意していたのとは別のリソースが追加で必要になるケースがほとんどだからです。

一つには、単純に販売量を増やそうとする分だけ、追加でヒトやモノ、お金、時間が必要になるというのがありますね。本来であれば他の既存事業の運営や別の新規事業の策定に割くべきだったリソースが失われます。

二つ目としては、ターゲットが全方位的になってコストがかさむ可能性も考えられます。顧客層が広がると、絞ったはずのニーズが再び膨らんでしまうので、それに対応するためにリソースが割かれます。みんなのニーズを満たすために当初より高い水準の製品・サービスが要求されることになってコストがかさむという感じですね。最大公約数が大きくなると言いましょうか。

だから、顧客が増えて予定より売上や利益が増えることは、マーケティング上は良くても、経営戦略上は良いとは言い切れないわけです。
短期的・局所的には良くても、長期的・全体的には良いとは限らないという感じです。

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あとちなみに、リソースからは話がずれますが、ターゲットが広がると、当初想定していた顧客が離れて逆に市場が小さくなる可能性もあるという点でマーケティング上の問題もありますね。コアな人とかは、製品やサービスがメジャーになるとそれが大衆的な性質に変わっていくことに嫌気がさして離れてしまうことがあるので。

すっごいマイナーな例ですが、キリンの「ソルティライチ」(飲み物)とかはそんな感じがします。

ソルティライチは、当初、「世界のキッチンから」という世界の珍しい飲み物を紹介するシリーズの一つとして、塩が入ったライチジュースという感じでニッチ向けに発売されていました。ですが、発売から一年ぐらい経つと、塩は熱中症に良いからという理由で熱中症対策がウリにされるようになりました。それにともなって、味も大衆受けの良い感じに変えられました。結果、最初好きだった人は新しい味に馴染めず離れていっていったような形です。
(ただ、このケースでは、路線転換を機におそらく販売数量は伸びていて、成功しています)

また、こんな風には製品やサービスの質が大衆向けに変わらなかった場合であっても、ブランドイメージが広義になるだけで既存の顧客の一部はついてこないことがあるので、結構厄介な問題です。

 

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その他

肝要なのは、木ではなく森を見ることと、因果関係ではなく相関関係を頭に入れることです。(p.140)

「戦略イノベーションで他社に先行できれば、高シェアと莫大な利益を手にできる」。このような考え方は半ば常態化しているが、とんでもない誤解である。小さなニッチ市場を生み出しただけで終わり、というケースがむしろ一般的なのだ。(p.140)


その他気になったところ。

上の引用はなんかよさげなことを言っている気がするのですが、いまいち理解しきれなかったのでちょっとメモ程度に残しておきます笑

下の引用は、「イノベーション!」と思ってやったことが、実際は、結局ごく小さな市場を開拓したに過ぎないケースがほとんどだという旨を述べています。これは投資先企業を選ぶうえで示唆に富んでいそうです。


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今日はこれで!
そろそろ読書記録も今読んでる本まで追いつきそうです(・_・) 読書自体も一区切り付きそうで、ようやく投資方針の策定や銘柄研究に戻れそうです。
乞うご期待(笑)←

ではではー(^^ゞ