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ちゃーりーとちょこっとレーティング工場

20代サラリーマンのまったり株式投資記録です

読書記録#26:『コーペティション経営』

読書記録(書評)


こんにちはー

今日は「読書記録目次」より二十六冊目の感想文ですー
けふはこちら。

『コーペティション経営』,B・J・ネイルバフ,A・M・ブランデンバーガー(嶋津祐一訳),1997,日本経済新報社

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目次・概要

 

 

目次

第1部 ビジネスにおけるゲーム

 -戦争と平和 / コーペティシヨン / ゲーム理論

第2部 戦略におけるPARTS

 -プレイヤー / 付加価値
 -ルール / 戦術 / 範囲
 -変化に備える


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概要・書評

 

 ゲーム論的な戦略論の本です。
 「経営というゲームのなかで、企業はいかに競争(competition)、協力(cooperation)しているのか」がテーマになっています。タイトルの"co-opetition"は、"competition"と"cooperation"を合わせた造語になっています。

 内容としては、「自社の経営判断の良し悪しは他社のリアクションによって変わってくる」っていう感じのことが書いてあります。ゲームに参加している企業は、簡単に競合者とか協力者という風に割り切れるものではありません。自社の選択によって、ゲームの構造は変わります。一見競合に見える企業が協力者になったり、はたまた協力者に見える会社が競合に変わったり……

 経営判断で重要なことは、「自社の判断が、どの競合他社、買い手や売り手、協力者まで影響し、彼らがどんな反応をしてくるか、また、それによってゲームはどう動き、経営判断の有効性がどう変わるのか、を考えること」であるというわけです。

 ベースにあるのはポーターの戦略論という印象でした。ゲームの成り立ち(ポーターでいう業界構造)を捉えることが重要という主旨ですので。この本ではそこに時間軸を持ち込んでいるのが新しい点なのかなーと感じました。業界構造を静的な所与のもとして捉えるのではなく、ダイナミックに変化するものとして捉えています。
 「業界構造を分析するためのゲーム論的な手法」が示されているというよりは、「時間の経過による業界構造の変化を考えるための手立て」が論じられていたように思いました。

 ゲーム論と言っていますが、用語とかはほとんど出てこず、数式もないのでわかりやすかったです。ただ、事例がアメリカのもの(それも日本人にはなじみなさそうなもの)なのと、ところどころ言い回しが変で読みにくいところはありましたが。
 ほんとうに長期的な視点から会社の定性分析をしていこうとするなら、業界構造の変化を重視するこの本の内容はとても示唆に富んでいるんじゃないかなーと思います。
 




付加価値とは

 

一プレイヤーの付加価値=(そのプレイヤーを含めたゲームにおいて出来上がるパイの大きさ)-(そのプレイヤーを除いたゲームにおいて出来上がるパイの大きさ) (p.70)


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付加価値の定義

 引用は、付加価値の定義を式にしたもの。自分が抜けることで全体のパイが小さくなるほど付加価値は大きいという感じです。そうならないなら付加価値はないという。要するに、「代わりがいないかどうか」ですね。ゲームの中で代えが効かない会社なほど付加価値を生んでいて、利益が出るという…

 これだけだと一見当たり前ですが、代えが効かないというのをこの式のように少し掘り下げると見方が変わってきます。というのも、この式は付加価値をゲームという一歩引いた目線で捉えている点で特徴的だからです。それは、従来の見方と二つの意味で違っています。一つは、付加価値の視点を変えているという意味、もう一つは視点を広くしているという意味です。


顧客価値と付加価値

 まず一つ目の付加価値の視点を変えているという点について。


 一般的に、「代えがいない」というのは、ユーザーの観点からのみ捉えらがちです。「顧客にとって代えがない」=「付加価値」という向きが強いのではないでしょうか。
 実際、企業分析でも、「顧客にとってどれだけ代えが効かなくて価値があるか」を見ている人のほうが多い気がします。「○○はインフラ的、ストック的だから良い会社だ!伸びるぞ!」みたいな。
 この視点はこの前書いたブルーオーシャン戦略の記事でも触れましたね。顧客の隠れたニーズを満たすものこそ真に価値がある製品・サービスだっていう。

 

 このこと自体はたしかに否定はできません。

 ですが、「顧客にとって価値があること」と「ゲームにおいて価値があること」は必ずしもイコールではありません。顧客に欠かせないからと言って、付加価値があったり、利益が出たりするわけではないのです。

 これを示す例としては、水とかダイヤモンドがよく出てきますね。
 水は誰にとっても欠かせないもので顧客には絶対的な価値があるのに、ほぼタダ同然で提供されています。一方ダイヤモンドは多くの人にとってはほぼ無価値なのに、とてつもなく高額で提供されています。ですが、この矛盾は供給量を考えると当然ですね。水はたくさんあるけどダイヤモンドは希少だから、値段にこれだけの差がついてしまうわけです。

 というわけなので、顧客にとって価値があっても、付加価値があるとは限らないわけです。水のように供給量が多く、アクセス可能性が高ければ付加価値はほぼ0になってしまいます。


付加価値はどこにいるか

 

 次に、付加価値を捉える視点を広くしているという点について。
 
 今度は先ほど述べた条件を満たしていたと仮定します。供給をある程度制限でき、顧客が簡単にはアクセスできない状態になっているということです。
 そのとき、その会社にすぐさま付加価値が生まれてくるのかというと、そうはいきません。というのも、過小供給による付加価値を、バリューチェーンのなかのだれが持っていくかという議論が起きるからです。

 このケースでは、多くの場合、エンドユーザーに一番近いサプライヤーに付加価値があるという風に思われがちかなーと思います。
 ですが、実際のところ、いくらエンドの顧客にとって希少で価値があっても、そこと直接対面している会社は利益を持っていけずに、もう一つ川上の売り手のほうに利益が流れてしまうということはあります。

 ダイヤモンドとかはまさにその例で、エンド(BtoC)のほうの加工・販売企業にはほとんど利益は出ていません。川上のデビアス社が、エンドで起きているよりもさらに過小供給の状態を作ることで、大半の利益を持っていっています。

 つまり、過小供給でかつ顧客にとって価値があったとしても、さらに前段階の売り手のほうが過小供給になっていれば、自社にはほとんど付加価値は生じないというわけです。他社に全体の物量を規定されてはダメなわけです。自社が物量をコントロールできなければ、価値は生み出せないという感じてすね。



まとめ

 以上まとめますと、エンドユーザーにとって製品・サービスが過小になっているゲームにおいて、自社がバリューチェーン上のボトルネックになっている場合に限り、自社に付加価値が生まれるという感じになります。

 顧客にとっての価値を見るだけではなく、バリューチェーンのパイの大きさを規定しているか否かを見ないと付加価値は語れないわけです。


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 最近本読んでいなかったこともあり、ついにブログの記事が今読んでる本まで追いつきました!ふぅ……

 

 戦略論は、ポーターの競争戦略論Ⅰ・Ⅱと戦略サファリをこれから読んでとりあえず終わりにします。あとは金融全般に関する知識が薄いのでそこを押さえて、それからは個別の業界の本とかを読んでいきたいと思っています。

 ちなみに、せっかく勉強してきたので中小企業診断士の試験を受けようかなーと少し考え始めてます。将来的に必要になりそうな気もするので。経営学会計学ファイナンスについてはたぶん基礎は身についてるのでそれなりにいけるんじゃないかなーと思ってます←

 そんなこんなもありますが、最低限のことはざっと勉強できた気がするので、今後は銘柄調査:勉強を7:3ぐらいの割合でやっていきたいです。今までは1:9ぐらいでした(笑)


 ではではー(^^)/