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ちゃーりーとちょこっとレーティング工場

20代サラリーマンのまったり株式投資記録です

読書記録#30:『証券投資論』


こんにちはー

今日は「読書記録目次」より三十冊目の記録です。
今回はこちら。

『証券投資論』,日本証券アナリスト協会編,1998,日本経済新聞社

 

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目次


第1部 投資の基本概念
 -証券と投資 / 投資の基本概念
 -ポートフォリオ理論 / 資本市場理論

第2部 個別資産の分析と評価
 -債券投資分析 / 株式投資分析
 -デリバティブ

第3部 ポートフォリオ・マネジメント
 -ポートフォリオ構築と評価 / 国際証券投資

 

概要・書評

 

 タイトル通り、証券投資の概論的な本です。

 第一部では、現在価値や複利、割引率、富と効用、リスク-リターンの関係など、証券分析に入る前に必要になる前提知識が解説されています。そのあとの第二部で、債権から株式、デリバティブまでの一通りの理論が紹介される構成になっています。

 この本は証券アナリストのテキストにも指定されています。この内容を知ってれば試験も受かるといったぐらい網羅的かつ詳細な情報が盛り込まれているそうです。
 文体が硬くて数式が多いのでとっつきにくい感じはありますが、説明の仕方自体は明快で、数式やグラフも簡単なので分かりやすいです。訳書が多いなか、この本は和製だという点も良いところかなーと。装丁がいいのも〇です笑

 「証券投資」というテーマの本を読んだことがない方はもちろん、それなりに勉強してきた方にもおすすめできる本かと思います。
(ちなみに私が読んだのは旧版のもので、新版がⅠ・Ⅱに分かれて出てます)


 わたしはファイナンスやバリュエーションの本はそれなりに読んできたのですが、証券投資に特化した本は初でしたのでとても勉強になりました。この本ももっと早いうちに読んでおきたかったなーと感じました"(-""-)"



効用とリスク

 

富が増えるにつれて限界効用u'(W)が逓減(decreasing)するのか、不変(constant)であるのか、あるいは逓増(increasing)するのかによって、投資家のリスクの選好態度は(…中略…)3つの類型に分類することができる。 (p.76)

 

限界効用とは


 「投資家はリスク回避的だと推定される」。この主張はみなさんもいろんなところで聞いていらっしゃるかと思います。わたしもファイナンスの本を読んで知っていました。
 ですが、わたしは実は、「投資家はなぜリスク回避的になるのか」という理由の部分についてはこの本読むまで知らなかったんですよね… 「リスク回避志向ね…うんまあそうだよねー」ぐらいに感覚的に理解してました笑 お恥ずかしい……( ;∀;)


 先の引用は、ミクロ経済学の限界効用の観点から、リスクの選好度が分類できるという趣旨の説明をしています。効用関数の形によってリスク選好度は三つに分かれると言うわけです。限界効用逓減であればリスク回避的に、効用不変ならリスク中立に、効用逓減であればリスク愛好的になという感じです。

 限界効用は、ある時点において追加で得られる財の価値の多寡を示しています。財の増減に対して感じる嬉しさ(悲しさ)の度合いですね。効用関数のグラフの形には以下の三つがあります。

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 縦軸は効用の大きさ、横軸は財の大きさを表します。

 1の限界効用逓減であるとき、グラフは縦軸の効用に向かって凸型になります。これは所有する財の量が多くなればなるほど、新しく得る財の効用が小さくなっていくことを示しています。3の限界効用逓減はこの逆で、所要する財が増えるにつれて、新しく得る財の効用も大きくなります。2は財の量にかかわらず、得る財の効用は常に一定です。

 経済学ではふつう、限界効用逓減が前提にされています。財を多く所有(消費)しているほど、追加で得られる財の価値は小さくなっていくという…

 これは直感的にも理解できるかと思います。たとえば、一滴の水も持たずのどが渇きっている人にとっては、最初の1リットルの水には代えがたい大きな価値があります。でも、渇きが満たされれてしまえば、水の価値は小さくなります。さらに追加で1リットルの水を得たとしても、最初の水ほどの価値はなくなりますよね。



効用の期待値から見る「リスク」


 以上のことをリスクに結び付けて考えているのが冒頭の引用です。

 限界効用逓減の場合、同じ増減幅なら財が増える喜びよりも減る悲しみのほうが強いです。また、先のグラフから明らかなように、増減幅が大きくなるほど、増える喜びに対して減る悲しみが勝る比率が大きくなっていきます。という風に、同じ増減幅なら減るほうが怖い、かつ増減幅が膨らむほど減る怖さの比率は逓増していくのであれば、財の振れ幅は最小限であるほうが好ましいということになります。だから、投資家の多くは限界効用逓減によってリスク回避的になると想定されるんですね…。

 たとえば、ここに伊東市に住むクニオくんがいます。クニオくんは、伊東市の名産物・アジの干物の争奪戦に参加しないといけなくなりました。ある一定量のアジの干物を賭けて、五分五分の確率で貰うor失うといったゲームです。賭ける干物の量は1個~10000個までの間で自由に決めることができるとします。クニオくんは干物に対して限界効用逓減です。

 このとき、クニオくんはどうすればアジの干物から得られる効用を最大にできるでしょうか。いくつの干物を賭ければいいのでしょうか。

 同じ量の干物を五分五分の確率で獲るか獲られるかなので、貰える干物の量の期待値は0個ですね。クニオくんの限界効用が一定であれば、賭ける干物の量は10個でも500個でもいくらでも構わないでしょう。ですが、クニオくんは干物に対して限界効用逓減です。そのため、ゲームから得られる干物の効用の期待値はマイナスになってしまっています。得られる干物の量の期待値は0でも、効用の期待値自体はマイナスなのです。
 期待値が負のゲームから得られる価値を最大にするためには、賭ける干物の数をできるだけ減らしてマイナスが膨らむのを避けるしかありません。というわけで、賭ける干物は1個にするのが良いということになります。クニオくんにとっては、最小限のリスクを取るのが一番良い判断だったわけです。

 逆に、もしクニオくんが「干物所有量で日本一になりたい!干物量を世に誇示したいんや!」といった風(限界効用逓増)に考えていれば、MAX10000個の干物を賭けていたということになります。得られる効用の期待値がプラスの方向で逓増していくので、リスクは取るべきものという判断になっていました。


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 と、書いてみましたが、当然のことですよね… そもそも限界効用逓減知ってる人なら、改めて本で書かれなくても初めから気づいているようなことな気がします( ;∀;)
 ですが、わたしはこれを読んで初めてリスクと限界効用逓減に結びつきがあることを知りました。それでやっと「投資家はリスク回避的だと推定される」という前提が腑に落ちました…
 今後も勉強していきたいですφ(..)


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 最近読書さぼり気味なのでもう少し読んでいきたいです…
 ではではー('ω')ノ