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ちゃーりーとちょこっとレーティング工場

20代サラリーマンのまったり株式投資記録です

高利益率が育む競走劣位

投資コラム


こんばんはー

今日は利益率について少し書きます。
投資記録・読書記録以外の記事としては約八か月ぶり()です… このまえちょろっとエクセルの記事(というより報告)を書きはしましたが…

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 利益率。ROEROA、純利益率や営業利益率などなど。

 "利益"と名の付く指標は色々ありますが、いずれも投資では重要な指標の一つかと思います。投資家の"利益"と密接に絡む指標だからです。
 (以下「利益率」は、ROAROEではなくて純利益率や営業利益率などの売上高利益率を指すことにします。ROAROEは回転率が絡んでくるのでまた別の機会にでも…)

 利益率は高ければ高いほど良いのでしょうか。
 「もちろんイエスだ!」と言われる方が多いと思いますし、私もそう思います。利益率の良い企業と悪い企業のどちらが優れているかと聞かれたとき、ほかの条件が全く一緒であれば、良いほうと答えるのではないでしょうか。

 ですが、本当にそう言えるのでしょうか。利益率は高ければ高いほど良い…
 長期的には利益率は高いほうが良いでしょう。それが投資家のリターンに深く関わるわけですから。ですが、過去や現在の利益率が高いことが本当に競争優位を示しうるのか、ひいては将来の高利益率を担保しうるのか、というと怪しいのではないかと思います。

 この記事の結論を先に書きますと、「高い利益率は競走優位を表していないことも多い。むしろ、競走劣位を示していることすらある。特に成長産業、早期の成熟産業においては。なぜなら、その高利益率は将来の利益率の犠牲のうえに成り立っているかもしれないからだ。今なすべきはずの戦略的な意思決定を十分に行えず、オペレーション効率化に逃げ込んでしまっている可能性がある。投資家は注意すべし」、という感じです。当たり前な感じになってしまいましたが、、、
(「オペレーション」は他の同業他社とも共通する一般的な活動のことを指しています)

 現在の「高利益率」は実は競走優位を示していないかもしれません。ともすると、競走劣位の裏返しかもしれません。という趣旨です。

 以下、1で利益率の捉え方を二つに分けて見たあと、2では利益率の両捉え方と競争優位がどう関係するのかを書いていきます。最後の3では、投資家は利益率をどう考えていけばいいかみたいなことを考えていきたいです。




1. 利益率の捉え方 ーコストプラスかマーケットマイナスかー


 改めて言うまでもありませんが、利益は売上とコストの差分です。

 利益率が高いというのは、お客さんから多くのマージンを取れていることを表しています。マージンを表すだけあって、高い利益率はそのまま競争優位に結び付けられることが多いです。マージンは付加価値を示しているゆえ、利益率の高さは競走優位の証になる、と。


売上単価の決まり方

 では、このマージンはどのようにして生まれるのでしょうか。マージンの元となる売上単価がどう決められるのかを見ることで紐解いてみます。

 売上単価の決め方は、大きく分けて二つあります。コストプラス方式とマーケットマイナス方式です (マークアップ方式というのもありますがここではコストプラス方式に含めます)。したがって、利益の出方もこれに応じて変わってきます。

 コストプラス方式は、製品・サービスに要したコストにマージンを乗っける形で売上単価を決めるやり方です。
 ある一定の率をコストに掛け合わせて売上単価を算出する感じと言いましょうか。なので、この"率"がそのまま利益率につながります。売り手企業が価格決めの裁量を持って、率によってマージンを主体的に設定しているという感覚です。

 一方、マーケットマイナス方式は、顧客が最大限払ってくれるだろう価格を起点にして売上単価を決める方式です。
 売り手はマーケットの価格を受容します。マーケットの価格をもとに売上単価を決めるので、利益率はコストの大小に左右されることになります。売上単価から差し引くコストをコントロールすることによって、マージンを捻出していくという格好です。

 つまり、コストプラスは主体的にマージンを上乗せしているというイメージ、他方マーケットマイナスはコストを管理することでマージンを捻出しているというイメージですね。かなり強引なまとめ方ですが…

 もっとも、コストプラスとマーケットマイナスどちらをつかうにしても、値付けのレンジ自体は変わりません。基本的には「顧客が最大限払える価格」を上限、「かかったコストを割らない価格」を下限にして、その間で結局値付けすることになるので…

 ただ、製品・サービスが真に競走優位を持っている場合、価格はコストプラス成分多めで決められることが多いです。
 というのも、競争力のある売り手の提示価格に対しては、買い手はどんな価格であろうと受け入れざるをえないからです。顧客はその製品・サービスを使うしかありませんので。売り手がわざわざ「顧客が最大限に払える価格」を考えずとも、買い手がこちらの言い値に合わせてくれるのです。




2. 成長産業における競争優位と利益率のトレードオフ


成長産業での高利益率とはいかに


 話が遠回りになりましたが、利益の生じ方には二種類あるという話をしました。コストプラスでマージンを乗っけているケースと、マーケットマイナスでマージンを捻出しているケースです。

 では、成長産業においては、どちらのほうが高い利益率に結び付きやすいのでしょうか。

 考えが分かれそうなところではありますが、私は、成長産業においてはマーケットマイナス方式を取っている会社のほうが比較的に高い利益率を出しやすいのではないかと思っています。

 というのも、成長産業では事業拡大のためのコストがそれ相応にかかるからです。大きなコストがかかるということは、コストの低減によってマージンを生み出す余地がそれだけ大きくあるということでもあります。ですので、マーケットマイナス的に価格を受容して、コスト削減に邁進するほうが利益を出しやすくなるという感じです。

 逆に、成長している産業でコストプラスかつ利益率高い会社というのは、なかなかないかなと思ってます。たしかに長期の戦略策定・実行をする上ではコストプラスのほうが有効だと思いますし、実際こちらを取っている会社自体は多い気がします。
 ですが、成長産業は変化が早く、顧客のブランド選好もそこまで固まっていないので、コストプラスで少しでも無理なマージンを乗っけてしまうと顧客はあっという間にどこかにいってしまいます。なので、成長産業でコストプラスを取る場合、欲するマージンをコストに上乗せして価格設定をするというコストプラスのアグレッシブな側面は薄れていきます。コストというベンチマークは、最低限の採算を確保するためだけのものとして残ることになります。結果、足元の高利益率にはつながりにくくなると思っています。


戦略的意思決定を犠牲にしたオペレーション効率化

 と、こんな感じで、成長産業において利益率が高く抜けている会社は、マーケットマイナスを取っていることが少なくないと考えています。

 ところが、成長産業の企業が行うべきことは、マーケットマイナス的にコスト削減をして利益を伸ばすことではありません。オペレーションを効率化して利益を伸ばせたとしても詮ないことです。他社もやろうと思えば追いつけるわけですから。

 そうではなく、戦略的な意思決定を行って長期的な競争優位を生み出す努力をするべきです。顧客にどんな価値を提供するか、どんなバリューチェーンを構築すればいいのか、リソースをいかに活用・フィットさせ組織を回すか、などなど… これらは一朝一夕では成り立ちません。一貫した理念のもとで、時間とお金をかけてゆっくり取り組んでいく必要があります。

 オペレーション効率化は、後回しにしておくにはあまりに魅力的に感じられます。落としたコストがそのまま利益になって見えてきますので。直接コントロールしやすく、成果が見えやすいので、ついついこちらに力を入れがちになります。たとえば、利益率10%の会社が1千万の利益を追加で生み出すためには、1億円の売上増が求められます。が、コスト低減であれば、1千万円落とすだけでもちょうどその分がまるまる成果になります。

 そんなこともあり、成長企業であってもオペレーション効率化に深入りしてしまうことはままあります。もちろん一概には悪いと言えなくて、余裕があるならやっていくべきです。しかし、変化の著しい成長産業の中にあって、その余裕を持つ企業が果たしてどれほどあるのでしょうか…。目先の利益拡大に走って戦略的な意思決定をおろそかにしてしまっているケースが少なくないかなと思ってます。
 (ただ、オペレーション効率自体が戦略上の争点になることもあると思います)

 ということで、オペレーション効率化に励むぐらいなら、その分のリソースを長期的な戦略策定と実行に振り向けるべき、と思うわけです。で、仮にそうしているなら利益率で抜けた値は出にくい、と。
 コスト削減で高利益率を誇られても、目先のお話に過ぎないのです。ともすると、成長産業の高利益率は、長期の競争ではもう勝ち目がないと踏んで白旗を揚げていることを暗示している場合すらあるかもしれません。他社が長期的な競走優位を模索する中、諦念からオペレーション効率化に粛々と取り組んでいて、束の間のおこぼれにあずかっているにすぎない、という…



3. 投資家は高利益率をどう考えるべきか


それは競走優位か

 投資家として私が気を付けたいのは、オペレーション効率化で生み出されているマージンを戦略上の競走優位だと勘違いしてしまわないようにすることです。オペレーションの巧拙は外からなかなか見えないので、実際はありもしない他の優位性にそのマージンを帰属させかねません。

 コスト低減による高利益率といっても、たとえばそれが投資抑制の結果であれば、企業を見る側の投資家も不自然さに気づきやすいと思います。「これから成長していくんだからもっと投資せんかい!抑制して利益率高くなっても意味ないんじゃー」、みたいな。
 ところが、コスト削減がオペレーションの効率化で達成されている場合、違和感を抱きにくいです。「お、この会社利益率高いなー…投資もそれなりにしてるっぽいし。ということはなにかしらの優位性があって利益率が高くなっているということで、、説明資料とかで言っているあれのことか、ふむふむ。おおぉこの優位性があるなら現時点でも競合ほとんどいないやんけ!数年後にはとんでもなく成長してそうやっ…!すとろんぐ☆ばい!!!」、みたいな。

 今自分が見ている企業の利益の源泉は何か。利益率が高くて一見競走優位があるように見えたとしても、注意して考えていきたいところです。
 ちょっと調べればそれっぽい「競争優位」が見つかってしまうことが話を厄介にしているポイントかなと思います…。不幸にも「なにか」が見つかってしまうだけに、高利益率の要因を「それ」だとしないでいることはとても難しいです。そこにそれらしい理由があるんだから、オペレーション効率で良くなった可能性をわざわざ考える必要なんてないじゃんか、と逃げたくなってしまいます。

 難しいことではありますが、オペレーション効率なのか競走優位なのかはしっかり考えていきたいです。
 そのためにできることは、、、というと良い方法はなかなか思い浮かばないのですが…。愚直に四半期損益を追って損益分岐点を推定してみるとか、もろもろの人頭効率、設備効率を比較してみるとかでしょうか。

 とりあえず、「競走優位がそこにある」と安易に思わないように私は気を付けていきたいです。



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長くなってしまいましたが今日はこんな感じで。

本当はどっかの企業を例にして引き続き話を進めるつもりだったのですが、、、
さすがに長いのでまたの機会に譲ろうかと思います……(フラグ)

ではではー('ω')ノ